「驚異と怪異 想像界の生きものたち」国立民族学博物館 質量で圧倒される不思議の坩堝

「驚異と怪異 想像界の生きものたち」国立民族学博物館 質量で圧倒される不思議の坩堝

2019.10.24

10月下旬のある日、友人と関西へ行ってきました。行きたいところを聞かれてリクエストしたのがこの展示。なんでも”この世のキワにいるかもしれない”奇妙で怪しい生きものたち、世界の霊獣や幻獣、怪獣を集めた展示だというのです。

国立民族学博物館という、何やら得体の知れない博物館があることは耳にしていました。友人も興味を持ってくれたので、早速行ってみました

万博公園を抜けて、みんぱくへ。

国立民族学博物館、通称みんぱくは、万博公園の中にあります。最寄り駅までたどり着くと、山の向こうから覗く顔。

ゴジラのごとく巨大な姿に、はしゃいで写真を撮りまくります。この日は生憎のお天気。窓が曇っているのも、不穏さを演出しているような。

公園に着いたら、PassMe!るるぶレジャーチケットで購入しておいた電子チケットで中に入ります。みんぱくの観覧チケットなのですが、自然文化圏を通行できるのです。割引もあり、特別展プラス常設展で880円のところ600円になりました。

特別展「驚異と怪異」会場へ。

外のロッカーにバックパックと傘を預けたら、いざ展示室へ。チケットを見せて電子スタンプを押してもらいます。

余談ですが、電子チケットってスマホの画面が暗いと読み取りにくいんですよね。前に失敗したので、最近は画面を明るくして見せています。

1Fは怪異大集合!

1Fは、各地の木・石像や人形、仮面など、怪異を形として表現した展示物がメインです。キャプションだけでは到底理解しきれない情報量なので、もう感じるのみ。

とくに印象に残ったのは東南アジアや南米のもので、フライヤーにも使用されている悪魔仮面や木彫りのナワルは、目が合うと中々逸らせませんでした。(※リンク先はいずれもみんぱくHP)

会場の構成も面白い。円形の展示室を壁で仕切り、属性別にコーナーが作られています。床には順路がわりに何かの足跡がペイントされ、入った瞬間から異界に踏み込んだよう。

水・地・天……と順路を進むと、最後のコーナーは驚異の部屋。ここは、骨や標本など自然科学系が多くて、とくにミイラがいっぱいいました。河童とか人魚とか、実在しないとされている生き物のアレです。

メガロドンの顎歯。向こう側に立って記念撮影ができます。

人魚のミイラや絵図は高確率で、両手を上に上げて外に向けて見せる「いないいないばあ」みたいなポーズをしています。不思議に思っていたら「水かきを見せるためじゃない?」と友人の一言。真偽は定かではないのですが、説得力のある意見です。

広島県三次市の「もののけミュージアム」から貸し出された資料もたくさんあります。「猫鬼」と呼ばれる怪異の小さな頭蓋骨が並んでいたのですが、この子たちも「もののけミュージアム」出身。角が少ないほど位が高く、日夜修行に励んでいるのだそうです。ちょっと健気でかわいい。

2Fには映像や文献資料、現代作家の作品。

2階は文献資料や現代作家の作品、映像があります。暗い部屋でおどろおどろしい音がしている展示とか。ネタばらしをすると、この正体は長野県のお祭りの様子。してやられました。

昔の怪異や架空の動物図鑑みたいなものもあったのですが、1階のインパクトがすごくて最後の方はあんまり頭に入らず。紐の文学のタイトルが気になりすぎるとか、ご当地幻獣グッズはネッシーとイエティがかわいくてマーケティング上手いとか、ファイナルファンタジーの怪獣を整列させた映像はちょっとシュールだったけど2回見たとか。そんなことしか覚えていません。

図録は書店・WEBで購入できます。

河出書房新社から発行されているので、書店で買えます。それぞれの文化背景に関するコラムも載っているので、より深く知ることができますよ。

国立民族学博物館の広報誌『月刊みんぱく』2019年8月号にも関連記事がありました。


常設展示も膨大な情報量。

常設展示室、ほんっとうに広いです。博物館に到着したのが14時ごろだったので、ちっとも時間が足りなかった! 最後の方は、ほぼ通り抜けるだけになっちゃいました。次回はたっぷり時間をとって、音声ガイドもつけて、じっくり回りたいと思います。

なぜか一番記憶に残っている鷺舞の衣装。津和野(島根県)のもの。

常設展示は撮影可能なので、気になったものはとりあえず撮っておくと後で振り返りやすいです。

衣装や細工も多いので、服飾や刺繍の好きな人も楽しいんじゃないかと思います。私はすごく楽しかった! 写真のフォルダがこういう感じのもので埋まりました。

アルテ・ポプラル メキシコのものづくりと造形表現

本館では「アルテ・ポプラルーメキシコの造形表現のいま」という企画展も開催されていました。アルテ・ポプラルは、職人や一般の人びとによる造形表現のこと。これがまた、見慣れないものばかりで、じっくり見入ってしまいました。

これは「生命の木」というオブジェの一部。色の使い方や題材が全然違っていて、今までの私の中に共通点がない感じが新鮮でした。異文化ってこういうことなのかな。