かわいくて、ちょっとこわくて、性格やストーリーまでも感じさせる生きものたち。
これは、主催者からのごあいさつに書かれています。この絵の世界を表すのに、これ以上的確なことばはないかもしれません。
猫や少女をモチーフに、繊細な書き込みが特徴的なイラストレーター、ヒグチユウコさん。その作品が500点以上も集まる大規模な個展が、全国を巡回しながら開催されています。
春には、東京で大変な混雑を見せた展覧会が、広島にやってきました。全国では三番目の開催です。
会場は奥田元宋・小由女美術館(三次市)

広島市内から車で約1時間。三次市の奥田元宋・小由女美術館が今回の会場です。この日は台風が近づいていて、どんよりとした曇り空。街中から離れていて人も少なかったので、そこはかとなく異界感がありました。ヒグチユウコさんの作品に合っているかも。
展示会場は、第一と第二に分かれています。第一会場が小さめの部屋なので「もしやこれだけ……? 巡回だから!?」とドギマギしたのですが、思いっきり早とちりでした。第二会場はかなり大きい空間で、壁一面に作品が展示されています。
満月が見える夜間開館日もあります。

美術館のロビーでは、大きな窓から水面に映る月を見ることができます。満月の日には開館時間を延長し、コンサートが開かれているそう。
展示期間中は10月14日が最後の夜間開館日です。夜に見るヒグチユウコさんの絵って趣がありそうだと思いませんか? ギリギリ台風が通り過ぎているといいな。
作品が総集結で見応えあり。
ヒグチユウコ展 CIRCUSでは、今までに発表された作品が一堂に会しています。書籍やWEBで見たことのある絵があちこちに。最高にヒグチユウコさんワールドとしか言いようがありません。なんて贅沢な空間。ごあいさつでも語られていた通り、かわいいだけじゃなくてちょっと不気味ですらあるのですが、なぜか目が離せないところがあります。
書き込みの繊細さも実物を見ると圧倒されるよう。思い立って単眼鏡で覗いてみたのですが、拡大しているのに肉眼で見るのと同じくらい細かかったです。このイラストを描く熱量は一体どうなっているのだろうなあ。

もう一つ、印象に残っているのは、映画の絵が意外とたくさんあったこと。表しがたい感想を形にできるってうらやましい。言葉では、どうにもならないような感情を込められるのは、絵や視覚的な分野の強みだと思うのです。
その他、ギュスターヴくん×若冲やポケモンのイーブイ、GUCCIで使用された作品など、コラボレーションものもたくさんありました。
ちょっと残念だったのは、第一会場のライティング。ヒグチユウコさんの絵って近くでまじまじ見たい方が多いと思うのですが、近くに立つと自分の影がかかってしまう箇所があり、そこだけ少し見にくかったです。
作品集とグッズ

まず、図録。作品集として一般にも販売されていますが、これは展覧会の限定verです。展示されている作品は概ね掲載されています。第一会場で展示されていた、デビュー以前のドローイング作品は掲載されてなかったので、そこだけは残念。ぶつぶつした女性のドローイングが好きだったので、また見たいなあ。
作品集は書店やインターネットでも購入できますが、装丁や内容の一部が異なります。また、限定特装版というものもあり、すでに販売はしていませんが、会場では実物を見ることができました。
グッズの中で良いなと思ったのは、Tシャツ・刺繍キーホルダー・刺繍眼花ブローチ・神ミイルティー。Tシャツは結構しっかりした生地だったように記憶しています。ショップのスタッフさんが着用していたのですが、パーカーの襟元からひとつめちゃんが覗いていて素晴らしかったです。あの着方がいい。

事前チェックしていたコウモリトートは、思ったより大きかったので購入せず。でも、生地感や作りは理想どおりで良かったです。
- ヒグチユウコ展 CIRCUS
- 会期:2019年9月12日(木)〜 11月4日(月祝)
- 会場:奥田元宋・小由女美術館
- 開館時間:9:30~17:00(9月13日(金)、14日(土)、10月14日(月祝)は21:00まで)
- http://www.genso-sayume.jp/
- https://higuchiyuko-circus.jp
今日の美術館ごはん「お食事処ながどて」
美術館から車で約7分のところにある、お食事処ながどて。昔ながらの洋食屋さんです。美術館周辺には、併設のレストランや三次ワイナリーもあるのですが、車で来られているなら、こちらもおすすめ。
Instagram等で発信されている日替りランチが、コスパ抜群でとても美味しそうなのですが、日曜日は提供がありません。この日は、ステーキ丼を注文しました。

お肉が柔らかくてボリュームもしっかりあって、甘辛の味付けが大変美味しゅうございました。